●熊野地名は「イヤ地名」
new ●多くは「くまの」と読んでいるが、堺市堺区熊野町では「ユヤ町」と読まれている。
このあたりに湯屋が軒を連ねていたことから付いた地名とされている。
熊野(ユヤ)は、歌舞伎から来たものとも云うらしいー。
歌舞伎の熊野は「平家物語の海道下り」がベースの春を代表する作品。
熊野(ゆや)
平宗盛の愛妾の「熊野(ユヤ)」のもとへ、東国に住む母親の病が重いと記された手紙が届けられる。
熊野は帰国の旨を宗盛に願い出るが、熊野(ユヤ)を寵愛する宗盛はこれを許さない。
宗盛は、熊野(ユヤ)を始め、従者や朝顔を連れて花見に出かけるが、母親との対面が許されず悲しむ熊野(ユヤ)の舞を見るうちに、
さしもの宗盛も哀れに思い、ついに帰国を許したという話ー。
これは、能をもとにした典雅な長唄舞踊で、
能では、熊野(ユヤ)は歌の名手で、
「いかにせん 都の春も惜しけれど 馴れし東の花や散るらん」と読み、
宗盛は、熊野(ユヤ)の母を思う気持ちに感動して帰国を許した。


愛知県豊橋市牛川町の熊野神社「ユヤ神社」と呼ばれる。

●熊野=イヤ
ところが、和歌山県ではこれを「いや」と読む地域がある。
和歌山県田辺市熊野(いや)

本来が、こににイヤ地名があったのではないかー。
それに、漢字の「熊野」が充てられた。
元々が、熊野(いや)だったのかもしれないー。